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リプロ・ニュースNo.15

6 時間前
読了時間: 9分

国際セーフアボーションデー2026 記念特別号

2026年9月28日発行(9月29日更新)一般社団法人RHRリテラシー研究所


────◇◆◇コンテンツ◇◆◇────

1.9月28日は国際セーフアボーションデー

2.「リプロ・ニュース」14号を振り返る――何が変わり、何がまだ残っているのか

3.2026年、中絶をめぐって動いたこと

4.厚生労働省に要望書を提出しました

5. 「知る」から「実践する」へ――中絶VCATと出版

6.動画でも振り返る――これまでの発信

7.「リプロ・ニュース」バックナンバーを公開しています

8.ボランティア・スタッフ随時募集中!

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────◇◆◇1.9月28日は国際セーフアボーションデー◇◆◇────


 9月28日は、国際セーフアボーションデー(International Safe Abortion Day)です。

 今年のCall to Action(行動呼びかけ)は、「行動における連帯(Solidarity in Action)」を掲げ、中絶を不可欠な医療として位置づけ、包括的中絶ケアのために保健システムを強化するよう求めています。

 大切なのは、法的に中絶の権利が認められているかどうかだけではありません。その権利を、必要とする人が実際に行使できる条件が整っているか――質の保証された医療、正確な情報、手頃な費用、地域によらないアクセス、そしてスティグマのないケアがあるかどうかが問われています。

 そこで今年の記念特別号では、これまでRHRリテラシー研究所が発行してきた「リプロ・ニュース」と動画を振り返りながら、何が変わり、何がまだ変わっていないのかを考えます。



────◇◆◇2.「リプロ・ニュース」14号を振り返る――何が変わり、何がまだ残っているのか◇◆◇────


 「リプロ・ニュース」は2024年6月に創刊しました。

 第1号では、発売から1年を迎えた経口中絶薬、「わたしの体は母体じゃない」訴訟、北京会議+30などを取り上げました。以来14号まで、中絶薬、緊急避妊薬、身体と生殖の自己決定、国連人権、海外の中絶をめぐる制度や運動などを継続して追ってきました。

 振り返ってみると、繰り返し登場してきたテーマがあります。


● 中絶薬――「承認された」だけでは終わらない

 2023年に日本で初めて経口中絶薬が承認されました。しかし、「薬がある」ことと、「必要な人が実際に使える」ことは同じではありません。

 「リプロ・ニュース」では創刊時から、取扱施設の少なさ、高額な費用、医療機関内での服用など、日本独自のアクセス制限を追ってきました。2026年1月のNo.12では、初の通年データから、経口中絶薬が中絶全体の3.4%にとどまっている現実を取り上げました。


● 「わたしの体は母体じゃない」――身体について誰が決めるのか

 任意の不妊手術を制限する母体保護法を問う「わたしの体は母体じゃない」訴訟も、第1号から継続して報告してきました。

 2026年3月の東京地裁判決は請求を退ける一方、憲法13条が「避妊の自由」を保障すると明示し、現在の不妊手術要件についても「合理性に乏しい」と指摘しました。原告側は控訴し、現在、東京高裁で審理が続いています。


● 緊急避妊薬――「薬局で買える」その先へ

 緊急避妊薬についても、試験販売の段階からOTC化までを追ってきました。

 2026年2月、長年求められてきた薬局販売がようやく実現しました。しかし、対面販売、価格、取扱薬局の地域差などの障壁は残っています。No.14では、「薬局で買える」ことだけでなく、費用や居住地に左右されず、誰もがその選択を実際に行使できる条件が保障されているかという、リプロダクティブ・ジャスティスの視点から考えました。


● 世界の動きから、日本を見直す

 フランス、韓国、英国、米国、ポーランド、アルゼンチンなど、海外の動きも数多く紹介してきました。

 法律が変わっても医療へのアクセスが伴わなければ権利は実質化しません。逆に、厳しい制度のもとでも、市民や医療者によって新しい支援の方法が生み出されることがあります。

 海外の事例を知ることは、日本の制度を「あたりまえ」と思わず、別のあり方を考えるための手がかりにもなります。



────◇◆◇3.2026年、中絶をめぐって動いたこと◇◆◇────


 2026年にも、日本と世界で大きな動きが続きました。

 日本では、緊急避妊薬のOTC化が実現しました。「わたしの体は母体じゃない」訴訟は控訴審へ進み、身体と生殖について本人がどこまで決定できるのかが改めて問われています。

 海外では、イングランド・ウェールズで女性本人の自己堕胎を刑事罰の対象から外す脱犯罪化が進みました。韓国では、中絶薬を国内で正式に利用できるようにするための政府の取り組みが始まっています。米アイダホ州では、妊婦の健康を守るため医学的に必要な中絶をめぐり、連邦地裁が「自己保存・自己防衛」の権利にもとづく重要な判断を示しました。

 No.14では、これらの動きの多くをまとめて取り上げました。

 一方、日本には今も、刑法の堕胎罪、中絶における配偶者同意要件、母体保護法指定医師制度、中絶薬へのさまざまなアクセス制限などが残っています。

 制度が一つ変われば問題が解決するわけではありません。

 権利が認められているか。それと同時に、その権利を誰もが実際に行使できる条件が整っているか。

これからも、この二つをともに問い続ける必要があります。



────◇◆◇4.厚生労働省に要望書を提出しました◇◆◇────


 国際セーフアボーションデーにあたり、RHRリテラシー研究所は、厚生労働省の「国民の皆様の声」募集 送信フォームから、「国際セーフアボーションデーにあたり、中絶ケアの制度・提供体制の見直しを求める要望書」を提出しました。  女性の生殖に関する権利のための世界ネットワーク(WGNRR)の2026年の行動呼びかけを踏まえ、主に次の点を求めています。  ・中絶を不可欠な医療として位置づけ、公的な保健医療システムに包括的な中絶ケアを組み込むこと  ・中絶を刑罰の対象とする制度を見直し、少なくとも妊娠した本人を処罰の対象から外すこと(イングランド・ウェールズの自己堕胎の脱犯罪化を紹介)  ・メフィーゴパックの使用条件を速やかに見直し、その工程と時期を示すこと(韓国政府が9月16日に発表した段階的導入の方針を紹介)  ・年齢、居住地域、経済状況による不利益をなくし、包括的性教育を推進すること  ・医療の場でのプライバシーと自己決定の保障、苦情・救済の仕組み、災害時の医療継続、当事者の意見の反映



────◇◆◇5.「知る」から「実践する」へ――中絶VCATと出版◇◆◇────


 RHRリテラシー研究所では、情報を発信するだけでなく、医療や支援の現場を変えていくための活動にも取り組み始めています。


 2026年2月には、日本初の本格的な中絶VCAT(行動と変革のための価値明確化)ワークショップを実施しました。

 VCATは、中絶について「正しい考え」を教える研修ではありません。自分自身がどのような価値観やバイアスを持っているのか、それが中絶を経験する人への医療や支援にどう影響しうるのかを、参加型のワークを通じて考えるプログラムです。最初のワークショップでは、自分の価値観が明確になった、異なる意見を持つ人にも共感できた、といった振り返りが寄せられました。

 次回は、松本で2026年10月と2027年1月の2回に分けて開催し、現在参加申込みを受け付けています。また、12月には首都圏でも開催できるよう準備を進めています。

 松本開催・参加申込み https://forms.gle/6veFEUPUB5ihLoHw6


 出版活動も続いています。

 9月25日には、塚原久美著『中絶ケアカウンセリング――スティグマの脱構築から実践へ』が刊行されました。

 中絶した人を「助ける」ためのハウツーではなく、その人を取り巻く社会や制度、そして支援する側のまなざしを問い直すところから、中絶ケアの基本的な考え方と今後のあり方を展望した本です。

 さらに年内に、明石書店から塚原久美著『中絶が権利にされない国(仮)』の刊行も予定しています。



────◇◆◇6.動画でも振り返る――これまでの発信◇◆◇────


 RHRリテラシー研究所では、「リプロ・ニュース」を始める以前から、中絶やリプロダクティブ・ヘルス&ライツをめぐる講演、対談、オンラインイベントなどを動画で発信してきました。

 あまり知られていない動画もありますが、現在につながるテーマを扱ったものが多数残っています。この機会にぜひご覧ください。


 RHRリテラシー研究所 公式YouTubeチャンネル 公式YouTubeチャンネルを見る

 2024年の国際セーフアボーションデーには、ノルウェー、中国、日本、ブラジルの中絶事情や「わたしの体は母体じゃない」訴訟についてオンラインイベントを開催し、その記録も公式YouTubeに残しています。


 国際セーフアボーションデー2025記念トーク 「産む自由/産まない自由、その現在地と未来」 NPA-TV 2025年記念トークを見る


 そして今年は、9月27日に国際セーフアボーションデー2026記念イベント「安全な中絶ケアに必要なもの――制度・スティグマ・アクセス・価値観を考える」をオンラインで開催し、無事終了しました。動画もRHRリテラシー研究所公式YouTubeで公開しました。


 9月25日に刊行された『中絶ケアカウンセリング』も手がかりにしながら、2026年の国内外の動き、中絶をめぐる制度とアクセス、スティグマ、そして医療者・支援者自身の価値観について考えました。中絶VCATと今後の活動についても紹介しています。




────◇◆◇7.「リプロ・ニュース」バックナンバーを公開しています◇◆◇────


 「リプロ・ニュース」は、No.1からすべてRHRリテラシー研究所のホームページで公開しています。

 創刊から2年あまり。読み返してみると、当時は「これからどうなるのか」と書いていたことが、その後実際に制度の変化につながった例があります。

 その一方で、中絶薬へのアクセス、配偶者同意、自己決定、地域格差、費用、スティグマなど、形を変えながら繰り返し現れてきた問題もあります。

 最新情報だけでなく、そこに至るまでに何が議論され、何が変わり、何が残されたのかを見るためにも、ぜひバックナンバーをご利用ください。


RHRリテラシー研究所ブログ/「リプロ・ニュース」バックナンバーバックナンバーを読む



────◇◆◇8.ボランティア・スタッフ随時募集中!◇◆◇────


 一般社団法人RHRリテラシー研究所では、リプロに関する情報発信、イベント、研修などの活動を一緒に進めてくださるボランティア・スタッフを随時募集しています。

 関心のある方、何か一緒にやってみたい方は、ぜひお問い合わせください。

ホームページ:RHRリテラシー研究所 https://www.rhr-literacy-lab.net/


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編集後記

 2024年6月に「リプロ・ニュース」を始めてから、2年あまりが経ちました。

 第1号では「経口中絶薬発売後1年」を取り上げました。その後、緊急避妊薬のOTC化が実現し、「わたしの体は母体じゃない」訴訟では裁判所が「避妊の自由」に言及するまでになりました。世界でも、中絶をめぐる制度は大きく動いています。

 けれども、過去14号を読み返して強く感じるのは、制度上の選択肢ができることと、それを誰もが実際に利用できることとの間には、まだ大きな距離があるということです。

 だからこそ、情報を伝えるだけでなく、ケアにかかわる人の価値観を問い直すVCATにも取り組み始めました。「知る」ことから、「考える」「語る」、そして「変える」ことへ。これからも少しずつ活動を広げていきたいと思います。

 今回の特別号をきっかけに、過去の「リプロ・ニュース」や動画も、もう一度のぞいていただければうれしいです。(K)

©一般社団法人RHRリテラシー研究所 2026



 
 
 

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