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中絶薬Q&A よくある質問

​中絶薬について基本を知りましょう!

  • 薬による中絶とは?
    薬による中絶とは、薬を単独でまたは組み合わせて服薬することで、妊娠を終わらせることです。外科手術を行わず、薬の内服だけで終わらせることができるため「内科的中絶」とも呼ばれます。
  • 中絶薬はどれくらい安全なの?
    とても安全です! 薬による中絶のリスクは とても低いし、妊娠が継続した場合のリスク より低いし、望まない妊娠を終わらせるため に別の手段に頼らなければならなくなるリス クもとても低いのです。妊娠12週以内なら、 100人の女性が薬による中絶を行ったとして、合併症のために医療の助けを借りなければな らない人は5人未満です。(ASAJ2021)
  • 中絶するのに、どのような薬が使われますか?
    最も⼀般的に使われている薬は、ミフェプリストンとミソプロ ストールです。抗黄体ホルモン剤のミフェプリストンを先 に服用しておいて、24〜48時間後にプロスタグランジン薬 のミソプロストールを続けて服用します。 ミフェプリストンによって妊娠は終わり、妊娠組織が子宮内膜 からはがれおちます。ミソプロストールは、子宮頸管を柔 らかくして子宮を収縮させ、子宮内容物を体外に排出させ ます。 このプロセスは自然流産とそっくりです。 ミフェプリストンを使えない場合には、ミソプロストールだ け で薬による中絶を行うこともあります。
  • 妊娠何週目まで、薬による中絶を⾏えますか?
    世界保健機関(WHO)のガイドラインでは、現在、妊娠週数の限界は定めていません。 ただし、薬の投与量と投与方法は、妊娠がどこま で進んでいるかによって変わりま す。 妊娠12週までは当人が自宅で服用することもできるとしています。 妊娠12週以降の薬による中絶は、医療 施設において医療従事者の監視下で 行わなければなりません。 (WHO2023)
  • アフターケアの診察はいつ 受ければいいですか?
    医療従事者の監視下で行う場合は、薬を服用してから14日後に 医療機関でアフターケアの診察を受けてください。 医療提供者は、薬による中絶が 成功したかどうか、さらなる治療が必要かどうかを確認します。(ASAP2021 ) ただし、現在、WHOでは中絶が完了したかどうかについても、正しい知識を得ていれば当人が判断できるとしています。(WHO2023)
  • 中絶薬を使うために何を知っておく必要がありますか?
    この薬を正しく使うためには、以下の3つの課題をクリアしなければなりません。 1. この薬を使っていい人かどうかの判断(現在の妊娠週数、これまでの病気の既往歴) 2.この薬の服用方法を守って服薬すること 3.すぐに医療にかかる必要がある合併症が起きていることを見極めること 1.についてはオンライン処方の時点で医療者と共にチェックすることができます。 2.と3.についてはオンライン処方の時点での説明と、送付されてきた薬に添付されている資料で確認できます。
  • 薬による中絶ができない⼈はいますか?
    妊娠初期に薬による中絶ができない人は非常に稀です 医療提供者が子宮外妊娠の疑いがあるとみている 場合 ミフェプリストンまたはミソプロストールに対す るアレルギーがある場合 血栓ができやすい疾患があるか、そうした体質の 方の場合 血液をさらさらにする薬を服用している場合 慢性的な喘息や関節炎、その他のアレルギーの治 療のためにステロイド剤を服用している場合 IUD(子宮内避妊具)を入れている場合は、薬によ る中絶を行う前にIUDを取り外す必要があります。(ASAP2021)
  • 薬による中絶は将来の子供を持つ能力に影響しますか?
    薬による中絶は、将来の子供を持つ能力 に影響しないという研究結果が出ていま す。(ASAP2021)
  • 妊娠初期の薬による中絶では、どのような副作用がよくありますか? どのように対処すればいいですか?
    出血: ミフェプリストンしかのんでいない段階でも、生理 用ナプキンを普段より多めに準備しておくと良いで しょう。通常、重い生理のような出血があり、いく つか血の塊もみられます。 腹部の痛み: 自宅にいるなら、湯たんぽや温熱パッドを使った り、温かいシャワーを浴びたりすることで痛みに対 処できます。生理痛のために普段服用している鎮痛 剤をのむか、パラセタモールやメフェナム酸、イブ プロフェン系の薬を服用しましょう。 なにかしら忙しくしていることで、気を紛らわすの もいい手です。 寒気と発熱: ミソプロストールを服用した後に、まれに軽い悪寒 と体温の上昇が起こることがあります。発熱が2時 間くらい続くこともありますが、深刻な副作用では ありません。暖かい毛布さえあれば、特別な治療は 必要ありません。 吐き気: 人によっては軽度から重度の吐き気に悩まされること があります。 軽い食事と水分をたっぷりとることで改善されます。 薬をのんでから30分以内に吐いた場合は、薬をもう 一度のむ必要があります。症状が重い場合は、医療 機関に連絡して吐き気をやわらげる薬を処方しても らうことができます。 (ASAP2021)
  • 薬による中絶の後で、どのような 合併症が起こる可能性がありますか?
    大量出血: ごくまれに、子宮から大量の出血が起こることがあ ります。 大量出血とは: 1時間に厚手の生理用パッ ド 2枚がぐっしょり濡れる状態が2時間続くようなら、 医療機関に連絡してください。その場合、ミネラル の損失を補うために大量の水分を取るようにしてく ださい。 感染症: 寒気や軽い発熱は薬の副作用ですが、38度以上の熱 が4時間以上続く場合、あるいはミソプロストール を服用した後に発熱した場合には、かかりつけ医に 連絡してください。 (ASAP2021)
  • 薬による中絶を行った後は、 いつからセックスできますか?
    出血が完全に止まるまで10日ほどかかる ため、その間は膣に挿入する行為はやめ てください。もちろん、あなた自身がそ の気にならないうちに、性行為を再開す る必要はありません!(ASAP 2021)
  • 薬による中絶の方法は、1つだけですか?
    世界保健機関(WHO)が推奨している薬の組み合わせは、現在、3つあります。 妊娠12週(または84日)未満のについて: 1.ミフェプリストンとミソプロス トールを使う方法 ミフェプリストン1錠を水で服用し、その後24〜48時間に、ミソプ ロストール800μg(4錠)を膣内に入れるか、頬の内側ま たは舌の下でゆっくり溶かす(1回限り)。 ※日本で承認されたのは、ミソプロストールを頬の内側(歯茎と頬のあいだ)で溶かす方法ですが、妊娠9週(63日)までに限定されています。 2.ミソプロストールを単独で複数回服用する方法 日本では承認されていません。 3.レトロゾールとミソプロストールを使う方法 日本では承認されていません。 妊娠12週以降については、医療機関で服用することになっていますが、日本では承認されていません。 ミソプロストールやレトロゾールは比較的価格が安いため、日本でも使えるようになることが望まれます。
  • 日本で承認された経口絶薬ってどんなもの?
    日本国内では、経口中絶薬とは2023年4月に日本で承認されたラインファーマ社の「メフィーゴパック」という製品のことを指します。メフィーゴパックとは、妊娠を継続させるためのホルモンを止めるミフェプリストンと、妊娠が終わった子宮内の胚(胎児になる前の段階のもの)を体外に排出する作用をもつミソプロストールの2つの薬をセットにした薬です。 2023年5月から、母体保護法指定医師(日本国内で中絶を合法的に行うことが許可されている産婦人科医、以下「指定医師」とします)がいて、入院施設のある医療機関で、指定医師の監視下で服用し、中絶が完了するまで入院または院内待機することを条件に使用することが許可されました。 しかし、国連の世界保健機関(WHO)や国際産科婦人科連合(FIGO)などでは、この薬を対面診療することなく、オンライン処方を行い、自宅に薬を送付して、必要な情報を得たうえで中絶を望む本人が自分で服薬する方法を推奨しており、不必要な制限を設けることを否定しています。 下記のラインファーマ社の説明もご覧ください。
  • 中絶薬について日本語で読める情報はどこにありますか?
    中絶ケアガイドライン・エグゼクティブサマリー(WHO2023) 専門家向けに、中絶ケアに関する推奨法などの最新情報がまとめられています。 https://iris.who.int/bitstream/handle/10665/352342/9789240045163-jpn.pdf 以下の情報は、服用方法(週数等)については、WHOの『中絶ケアガイドライン』(2023)より古いガイダンスに基づいていますが、他は変わりがなく、十分参考になります。 薬による中絶の ファクトシート(ASAP2021) https://asap-asia.org/pdf/information-booklet/Medical-Abortion-Factsheet_Jap_21-edited-by-Kumi-2-2.pdf 以下の2つは、安全な中絶を受けられない国に住む人を対象に、中絶薬の送付を行っている国際ボランティアNGOの情報です。 経口中絶薬: あなたが知る必要があるすべて(Women on Web) 薬による中絶:WOMEN HELP WOMEN https://consult.womenhelp.org/ja/page/378/in-collection/377/%E8%96%AC%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E4%B8%AD%E7%B5%B6
  • ​RHRって何のこと?
     RHRとは、リプロダクティブ・ヘルス&(リプロダクティブ・)ライツの略です。  リプロダクティブ・ヘルスとは、性や生殖に関する健康のこと、リプロダクティブ・ライツとはリプロダクティブ・ヘルスを保障するための権利を言います。  ここでいう「健康」とは、病気がないとか身体が弱っていないといった身体的な健康のことだけではなく、ウェルビーイング(自分として満足のいく最良の状態)にあることで、心の健康(心穏やかにいられること)、社会的な健康(社会の中で安心して満足しながら暮らせていけること)も含まれます。  RHRは人権の重要な一部を占めており、女性にとっては特に重要な権利です。
  • ​人権ってよく分からないけど……?
     人権というのは、すべての人に対して保障されるべき権利のことです。国家には国民の人権を守る責任と義務があります。  人権には、自由権と社会権という二つの側面があります。自由権とは、個人が自分に関することを自分で決められる自由のことで、自己決定権と呼ばれることもあります。社会権の方は、すべての国民が国家によって保障されるべき権利のことです。たとえば、国民の教育権を保障するために国は義務教育を無償で提供しています。 ​ 女性にとってリプロダクティブ・ヘルス&ライツが特に重要であるのは、女性特有の生殖機能があるためです。
  • 中絶ってよくないことでしょ?
     中絶(人工妊娠中絶)は、女性が望まない妊娠をしてしまった時に最後の助けとなる手段です。中絶はリプロダクティブ・ヘルスを守るために欠かせないもので、世界中で4人に1人の女性が生涯に一度は経験するとも言われています。  科学技術が発達して、現代の中絶はかつてのように女性の健康をおびやかすものではなくなっています。海外では、中絶薬(人工流産薬)が使われるようになって、中絶のタイミングがより早期化され、中絶を罪悪視する見方は弱まっています。近年、カトリック信者の多いアイルランドやアルゼンチンで中絶が合法化されたのも、そうした科学の進歩と人々の倫理観の変化を反映しています。
  • 日本には堕胎罪があるって聞いたけど?
     日本の刑法には今も堕胎罪があります。しかし、刑法堕胎罪の自己堕胎罪規定(女性が自分の妊娠を自分で終わらせることを罪としている規定)は、女性の権利が全く認められていなかった明治時代に作られた法律で、日本国憲法にも国連人権規約にも反しています。  女性の人権としてのリプロダクティブ・ヘルス&ライツを守るためには、妊娠した女性自身が自分のからだのことについて自分で決められる権利(自己決定権)を保障していかなければなりません。
  • 日本で2万円かかる吸引がアメリカでは20ポンドでできるというのはあんぐりです。その差額はだれの手に入っているんでしょうか。
    ​(2020年9月27日の国際セーフ・アボーション・デー2020Japanプロジェクトのイベントを観た人の質問)  (イベントで)2万円、20ドル(ポンドではなく)と言ったのは吸引器の価格(原価)の話です。これに当然ながら診察費や検査費、いろんなサービス料が加算されていくわけです。吸引器は海外では数ドル程度から高くても50~60ドルくらいのようです。  薬の価格の話も同様です。UNFPA(国連人口基金)の販売価格として、WHO必須医薬品コアリストに中絶薬を推薦する文書の中に紹介されていました。詳しくは以下をご覧ください。ミフェプリストンは高くて15米ドル、ミソプロストールは高くて2米ドル3セント(どちらも1回分)となっていたので約17米ドル、日本円にして2000円程度と考えています。 世界における中絶薬の値段 - リプロな日記も参照してみてください!
  • (フランスの中絶可能週数は)周辺国と比べても短いようですが、ただ、週数の数え方が日本と違うと聞いたことがあります(うろ覚えです)。
    (2020年9月27日の国際セーフ・アボーション・デー2020Japanプロジェクトのイベントを観た人の質問) 「イギリスでは24週です。​胎児の異常による中絶は24週すぎても可能です。」とチャットで答えてくださった方、ありがとうございます。  週数については、当然ながら国際産婦人科学会などもあるので、医学的には今はLMP方式(直前の月経開始日からカウントする)を共通に使っていると思います。  週数が2週少ない数え方(受精を起点に考える)は、中絶に反対する人々がよく用いる方法です。たとえばLMPでは10週である胎児を「ほら、8週でもうこんなに育っているんだよ!」みたいなことを言うために使うわけです。
  • 独占・寡占状態になっている薬や医療機器を解消して価格を下げることも(現実的に選べる)選択肢を増やす上で必要なことだと思います。
    (2020年9月27日の国際セーフ・アボーション・デー2020Japanプロジェクトのイベントを観た人の質問)  仰る通りだと思います。  他にも国が現在行っている規制として最も問題なのは、母体保護法によって民間団体である公益社団法人日本産婦人科医会(会員のほとんどが母体保護法指定医師)に、業務独占の特権を与えていることだと思います。  手動吸引器や中絶薬など、世界では中間レベルの医療職(助産師、特別な訓練を受けた看護師や薬剤師など)で十分安全に行える(投薬は産婦人科以外の医師でも可能)とされているのに、日本では指定医師しか行えない。一部の医師が独占しているために、アクセスが悪くなり、コストも高くなっているのです。
  • 同意書が必要なのは本当に許せない。
    (2020年9月27日の国際セーフ・アボーション・デー2020Japanプロジェクトのイベントを観た人の質問)  配偶者の同意を求めることや、女性のみが罰せられる可能性のある法律があるのは「女性差別」であると、国連女性差別撤廃条約の委員会が日本国に何度も指摘していますが、政府は知らん顔です。本当に許せません。
  • ​パートナーさんはどこで様々な避妊方法を知ったんでしょうね。学校教育?
    (2020年9月27日の国際セーフ・アボーション・デー2020Japanプロジェクトのイベントを観た人の質問)  出演者のフランス人パートナーの話ですね?  学校教育で学んでいると聞いています。18歳までには(おそらくもっと早い段階で)避妊や中絶のみならず、婦人科の病気のことなども学んでいるそうです。
  • 週数が進んでからの中絶は特に、自宅で一般の人が自宅で嬰児を見て個人で処置するっていうことはメンタル的にも大丈夫なのでしょうか、、、
    (2020年9月27日の国際セーフ・アボーション・デー2020Japanプロジェクトのイベントを観た人の質問)  日本も海外も、いわゆる「初期中絶」が大多数を占めており、中期以上の中絶は、海外でも基本的には医療施設で行うことが一般的です。  中絶薬の自宅送付は、妊娠のごく初期に限られており、基本的に、インフォームド・コンセント(正しい情報を与えて当人に決定してもらうこと)やカウンセリングとセットになっています。
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