第6次男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え方(答申)に関する意見書
- Kumi Tsukahara
- 1月11日
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2026年1月9日
男女共同参画会議議長内閣官房長官 木原稔様
一般社団法人RHRリテラシー研究所
一般社団法人RHRリテラシー研究所は、性と生殖に関する健康と権利(Reproductive Health and Rights:RHR)の観点から、個人の自己決定権、人格権および尊厳が尊重される社会の実現を目的として、調査・研究・提言活動を行っている団体です。
第6次男女共同参画基本計画の策定は、日本社会におけるジェンダー平等の到達点と今後の方向性を示す極めて重要な政策過程であり、当研究所も重大な関心をもって注視してまいりました。
2025年12月12日の男女共同参画会議において提示された「第6次男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え方(答申)」について、当研究所は、以下の点につき強い懸念を表明し、是正を求めます。
「第10分野 男女共同参画の視点に立った各種制度等の整備」中の「イ 家族に関する法制の整備等」において、「婚姻により氏を変更した人が不便さや不利益を感じることがないよう、社会生活のあらゆる場面で旧氏使用に法的効力を与える制度の創設の検討を含め、旧氏使用の拡大やその周知に取り組む」との記載がなされています。
しかしながら、この記載は、男女共同参画の理念に照らして根本的な問題を含んでおり、削除されるべきであると考えます。
婚姻に伴う氏の変更によって生じる不利益の大半は、婚姻時の氏の選択において事実上約96%の夫婦で妻が改姓しているという実態のもと、氏の変更に伴う不利益や負担が制度的に女性に集中する構造によって生じています。 この構造的問題を是正することなく、「旧氏使用に法的効力を与える制度」によって対応しようとすることは、不利益の原因を温存したまま、その調整や負担を当事者に押し付けるものです。
これは差別の解消ではなく、差別への「適応」を制度として正当化するものであり、男女共同参画政策の方向性として適切であるとは言えません。
また、氏名は単なる行政上の識別手段ではなく、個人のアイデンティティおよび人格的同一性の中核をなすものです。婚姻を理由として自己の氏を保持できない制度は、個人の人生設計、結婚や出産、家族形成に関する自己決定に深く介入するものであり、性と生殖に関する権利(RHR)の観点からも重大な問題を有しています。
「旧氏使用の法的効力化」は、こうした人格的侵害を解消するものではなく、むしろ、結婚することを選択するのであれば、自己同一性の分断を受け入れることを求めるという国家のメッセージを固定化する危険性があります。
さらにCEDAW(国連女性差別撤廃委員会)は、日本政府の第9回定期報告に対する総括所見(2024年)において、配偶者が婚姻後も婚前の姓を保持できるよう、婚姻時の氏の選択に関する立法を改正するよう明確に勧告しています(項目12(a))。
にもかかわらず、「旧氏使用の法的効力化」を男女共同参画基本計画に位置づけることは、国際社会から求められている実質的な差別是正措置から目をそらし、問題を先送りするものと言わざるを得ません。
男女共同参画基本計画は、現存する不平等を追認し温存するための計画ではなく、それを是正するための国家的指針であるべきです。「旧氏使用の法的効力化」は、女性の自己決定権および人格権を侵害し、構造的な性差別を温存し、国際人権基準にも反する政策方向であり、男女共同参画基本計画に盛り込むことは適切ではありません。
よって当研究所は、当該記載を削除するとともに、真に男女平等の実現に資する施策として、選択的夫婦別姓制度の法制化を正面から位置づけることを強く要望します。
以上




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